電気料金を通じた原発コストの転嫁は「公益」なのか
── グリーンコープ託送料金訴訟が問うもの
今回のオンライントークでは、ふたたびグリーンコープ共同体代表理事の日高容子さんと、託送料金訴訟弁護団長の小島延夫弁護士をお招きして、この裁判で何が問われてきたのかを論じたいと思います。
- 日 時: 2025年11月27日(木)17:00~18:00
- 場 所: オンライン開催(Zoom)
- プログラム
1)「託送料金裁判をとおして伝えたいこと」
裁判で培ってきた「コト」を糧に、原発のないエネルギー社会を実現するために私たちにできることを考え、どう取り組んでいくのか、その糸口を探ります。
日高容子さん(グリーンコープ共同体代表理事)
小島延夫さん(託送料金訴訟弁護団長)
2)コメント
竹村英明(原子力市民委員会 政策調査部会)
3)質疑応答・意見交換
- (この企画は、後日Youtubeで公開します。Zoomのウェビナー形式で開催し、ご質問やご意見は当日の質疑応答(Q&A)もしくは、後日メール・FAXなどでも受けつけます)
- 参加申込み: 下記よりお申込みください。
https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_0gEUOJa7SHOIhKsS0BbUMg
※ 案内が届かない場合は、email◎ccnejapan.com(◎は@に変えてください)までお知らせください。 - 主 催: 原子力市民委員会
- お問い合わせ
email◎ccnejapan.com(◎を@に変えてください)
TEL. 03-6709-8083
「グリーンコープ託送料金訴訟」について
訴訟の状況
昨年11月のオンライントークで、「グリーンコープ託送料金訴訟」について、訴訟当事者の皆さんから、訴訟に至った経緯や争点、この裁判の意義についてお話を伺いました。

その後、今年2月に福岡高裁は、原告(グリーンコープ)側が提出したエネルギー政策、会計学、行政法などの専門家による一連の意見書の内容について論じることなく、国の原発推進政策をまるごと追認するような情けない判決を出しました。原告はこれを極めて不当として、最高裁に上告し、審理が続いていますが、口頭弁論は開かれていません。
原発事故の賠償費用と全国の老朽化原発の廃炉費用について、政府は2020年度から送電線の使用料(託送料金)に上乗せして、原発の電気を利用しない新電力の契約者にも負担を求めています。本来、国会できちんと議論して法律改正をした上でないとできないような費用徴収を経済産業省の省令の書き換えだけで一方的におこなっているのです。
政府はさらに、原発新増設に必要な膨大なコストを賄うため、あらたな公的融資(つまり私たちの税金による支援)の制度をつくろうとしています。
電気料金や税金には、わかりにくい複雑な仕組みで、原発のコストがさまざまに上乗せされているのですが、脱原発に向けた地道な努力を重ねてきたグリーンコープがあえて裁判に訴えることで、そのような上乗せの理不尽さと違法性が明らかにされてきました。
今回のオンライントークについて
今回のオンライントークでは、ふたたびグリーンコープ共同体代表理事の日高容子さんと、託送料金訴訟弁護団長の小島延夫弁護士をお招きして、この裁判で何が問われてきたのかを論じたいと思います。
なお、裁判の争点は、法律や会計制度の細かな議論もあって、なかなかに難しいのですが、この裁判を支える市民グループの制作したマンガ冊子が、とてもわかりやすく説明してくれています。脱原発をめざす市民の思いとこの裁判がどうつながるのかも含めて明解ですので、ぜひ御覧になってみてください。
グリーンコープの託送料金訴訟を支える会・静岡(2025)ワクワク 知って作ろう未来!! 『託送料金取り消し訴訟』の巻!
https://x.gd/VfgeH
話し手のプロフィール
日高容子(ひだか ようこ) 宮崎県都城市在住。子育てを機に安心・安全な食べものを、と意識してグリーンコープに加入。組合員活動歴18年、グリーンコープ生協みやざき理事長を経て、現在、グリーンコープ共同体代表理事とグリーンコープ連合会会長を兼任。
小島延夫(こじま のぶお) 1984年に弁護士となって以来、環境問題に取り組んできた。福島第一原発事故以降は、電力システムのあり方、原発制度のあり方についても調査研究。2005年から2019年まで早稲田大学法科大学院教授(行政法・環境法・民事公益弁護)。現在、駒澤大学法科大学院・筑波大学法科大学院で非常勤講師(環境法・環境法演習)。グリーンコープ託送料金訴訟の弁護団長。
竹村英明(たけむら ひであき) NPO法人「市民電力連絡会」理事長、イージーパワー株式会社(www.egpower.co.jp)代表取締役、グリーンピープルズパワー株式会(www.greenpeople.co.jp)代表取締役、原子力市民委員会 政策調査部会メンバー
参考情報
- 季刊雑誌『環境と公害』(岩波書店)の最新号
第55巻2号(2025年10月号)
特集② グリーンコープ訴訟が提起する原発の費用負担問題
https://www.iwanami.co.jp/book/b10152504.html - 毎日新聞(経済プレミア)で「環境エネルギー最前線」を連載されている川口雅浩さんが、今年2月の福岡高裁判決の前後、3回にわたって、グリーンコープ託送料金訴訟の経緯と意味について、大変わかりやすく解説してくれています。
原発の賠償費用上乗せを考える(1) 2025年2月18日
「原発ないのに『新電力』がなぜ負担?東電事故の賠償と廃炉費」
https://mainichi.jp/premier/business/articles/20250216/biz/00m/020/005000c
原発の賠償費用上乗せを考える(2) 2025年2月20日
「原発費用めぐる注目の控訴審判決『政府の主張は論外』か?」
https://mainichi.jp/premier/business/articles/20250218/biz/00m/020/016000c
原発の賠償費用上乗せを考える(3) 2025年3月4日
「なぜ原発賠償を電気料金上乗せ? 高裁判決への不満と疑問」
https://mainichi.jp/premier/business/articles/20250303/biz/00m/020/005000c - 同じく毎日新聞の2025年2月26日の記事
「送配電線利用料に原発賠償上乗せ「違法」認めず 福岡高裁が控訴棄却」
https://mainichi.jp/articles/20250226/k00/00m/040/206000c
では、原子力市民委員会(東電福島原発事故部会)のメンバーでもある除本理史さん(大阪公立大教授)のコメントが次のとおり掲載されています:
「司法は国のエネルギー政策にあまり異を唱えてこなかった。今回も行政へのそんたくを感じる判決だ。託送料に原発事故の賠償費を練り込んで回収する仕組みそのものが問われたが、中身に踏み込むことなく、形式的議論のみで請求を退けた。東京電力福島第1原発事故があり、その後も各地で震災が頻発する中、原発への信頼は揺らいでいる。にもかかわらず、本来は東京電力など原発事業者である大手電力会社が背負わなければならない事故賠償や廃炉の費用を、原発を使わない新電力の利用者にまで負担させる仕組みは大きな問題であり、国民的な議論が必要だ。」
