【12/17(火)】連続オンライントーク「原発ゼロ社会への道 」2024 第12回「想定を超えた災害だったので国に監督責任はない?─ B.5.b問題から福島第一原発事故をとらえなおす」開催のお知らせ

       【12/17(火)17時-18時】 CCNE連続オンライントーク
       「原発ゼロ社会への道」2024 第12回                            想定を超えた災害だったので国に監督責任はない?
     ─ B.5.b問題から福島第一原発事故をとらえなおす   
 
   開催のお知らせ

 

 2022年6月17日、最高裁(第二小法廷)は、福島第一原発事故による住民の損害への賠償と現状回復等をめぐって上告された4件の訴訟について、国の責任を認めない判断を下しました(6.17判決の多数意見)。これ以降、原発事故の賠償責任をめぐる複数の高裁判決では、一審段階で国の責任を認めていた場合であっても、 6.17判決多数意見にならって、いずれも国の責任を認めない判決が続いています。

 6.17判決では4人の裁判官の意見が3対1で割れ、多数意見では「実際の津波は想定より規模が大きく、仮に国が東京電力に必要な措置を命じていたとしても事故は避けられなかった可能性が高い」とされましたが、三浦守裁判官の「経産省が命令をしていれば、水密化などの措置が講じられていた可能性は高く、実際の津波に対しても非常用電源設備を防護する効果を十分に上げられた」(中略)「国や東電が真摯に検討していれば、事故を回避できた可能性が高い。経産相による規制権限の不行使は国賠法上違法で、過失も認められ、賠償責任は免れない」との意見も少数意見として明記されました。(※註1

 以上は、津波対策と事故の「回避可能性」についての判断の相違ですが、ここで問題は大きく2つあります。ひとつは、多数意見が間違っていて少数意見が正しいのではないか、という問題。実際、6.17判決の本文54頁のうち、少数意見は実に29頁以上を費やして、法令や技術基準の要求事項、地震津波の研究知見の進展、そして事故の予見可能性と結果回避可能性を綿密に検討したうえで、国には「規制権限の不行使」によって生じた損害を賠償する責任があることを明解に示しました。

 もうひとつの問題は、津波が防げなければ原発は必ず過酷事故に至ってしまうのか(6.17判決の多数意見は、そういう暗黙の前提に立って書かれています)、という疑問です。今回のオンライントークでは、一般にあまり知られていない2番目の問題を中心に見ていきます。

 実は、米国の原発では、原因が津波であろうが何であろうが、また、設計基準を超えるような原因であっても、「全電源喪失」という事態(つまり、福島第一原発で津波浸水後に生じたような事態)においても炉心冷却と使用済み燃料プールの冷却を維持(または復旧)する方策(電源車、可搬式ポンプ、ケーブル等々)をあらかじめ備えておくことが義務づけられています。これは、2001年の9.11同時多発テロで原子力発電所も攻撃対象となっていたことを踏まえ、米国の原子力規制委員会(NRC)が対応を検討して全ての原発に要求することになったもので、B.5.bの要求事項として知られています(2002年に暫定措置命令、2009年に連邦規則として成文化)

 米国のB.5.bで具体的に求められている大規模損傷緩和策について、日本の原子力安全・保安院(当時)は情報を把握していたにもかかわらず、またNRCからの助言もあったにもかかわらず、東電など原子力事業者に要求せずに放置したまま、2011年の3.11を迎えてしまったのです。

 2011年10月に大阪で開催された第19回原子力工学国際会議(ICONE19)の基調講演で、米国NRCの元委員長であるニルス・ディアズ博士は次のように述べました。   「もし仮に、日本でB.5.b型の安全性強化策を効果的かつタイムリーに実施していれば、福島第一原子力発電所の運転員が直面した事態は軽減されていたであろうし、とりわけ、全電源喪失(SBO)ならびに炉心および燃料プールの冷却への対処がなされていたであろう。」

 福島第一原発事故についての国会事故調の報告書(2012)は「必要な部分を電気事業者に伝え、対策を要求していれば、今回の事故は防げた可能性がある」としています。米国科学アカデミーの『福島原発事故報告書』(2014)も「B.5.bの多くが地震と津波に襲われた福島第一・第二原発で必要であり、有効だった」と述べています。

 今回のオンライントークでは、日本政府が福島原発事故以前に米国のB.5.b要求事項について知っていながら放置していた経緯、そのことがもつ深刻な意味、そして、今後の原発訴訟においてB.5.b問題がどのように争点化されうるのか、整理して解説したいと思います。

 皆さま、どうぞお誘い合わせのうえ、ぜひ御参加ください。

※註1令和3年(受)第342号 原状回復等請求事件 令和4年6月17日 第二小法廷判決


point 日 時: 2024年12月17日(火)17:00~18:00

point 場 所: オンライン開催(zoom)

point プログラムと出席者:

   ●「B.5.b問題から福島第一原発事故における国の責任を問い直す」                                     /長谷川公一(尚絅学院大学大学院 特任教授、東北大学名誉教授、                           原子力市民委員会アドバイザー) 資料

   ●コメント 「なぜ、B.5.b問題は共有できなかったのか」                                              /海渡雄一(弁護士、脱原発弁護団全国連絡会 共同代表、                                    原子力市民委員会 技術規制部会)

   ●質疑応答・意見交換

(この企画は、後日Youtubeで公開します。Zoomのウェビナー形式で開催し、ご質問やご意見は当日の質疑応答(Q&A)もしくは、後日メール・FAXなどで受けつけます)

point 申し込み: 下記よりお申込みください。

 https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_e8-FNFfATBSFzhjBcx9MNQ

※ 案内が届かない場合は、email◎ccnejapan.com(◎は@に変えてください)までお知らせください。

point 主 催: 原子力市民委員会

point お問い合わせ:email◎ccnejapan.com[◎を@に変えてください]                                         TEL 03-6709-8083

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