原発の重大事故とは? 起こる確率は「隕石より高い」!?

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原発の“重大事故”とは?

国際原子力事象評価尺度 INESレベル 7に分類される事故とは、炉心が損傷し、大量の放射性物質が環境へ放出される最悪レベルの原子力事故を指します。レベル 5–6(例:1979年スリーマイル島事故)は「深刻事故」と区別されます。

なぜ被害が桁違いなのか

原子力発電所で重大事故が起きると、その被害規模は、地震や津波などの自然災害、さらには他産業の設備事故とは比べものになりません。事故の進み方によっては、短時間で周辺に致死レベルの放射線が放出されるおそれがあり、放射線の影響が長期にわたって続くため、広い範囲が人の立ち入りを許さない区域になる可能性があります。

  • 短時間で致死線量の放射線が周辺へ拡散し得る
  • 放射能汚染は数十年〜数世紀残り、広域が立ち入り禁止になる恐れ
  • 復旧可能な自然災害とは異なり、人間の生活基盤を恒久的に奪うリスクがある

どのくらいの頻度で起きる?

かつては「ヤンキースタジアムに隕石が落ちるほどまれ」と言われるほど、重大事故の発生確率は極めて低いと考えられていました。しかし実際には、INES レベル 7は世界で 2件、深刻事故を含めると 3件が発生しています。

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事故INES放出量(I-131 等価)避難者数
1979スリーマイル島(米国)5ごく少量住民避難なし
1986チェルノブイリ(旧ソ連)7約 5200 PBq約 33 万人
2011福島第一(日本)7約 570–770 PBq約 16 万人

世界の商業炉は累計 約2万炉年 運転されており、現在の運転基数(約440基)で換算すると 地球規模で約15〜22年に1回程度の割合になります。こうした数字から、重大事故は決して“無視できるほど小さな確率”ではないことがわかります。

関連資料:原子力市民委員会『原発ゼロ社会への道』2014年版(ゼロみち2014)p.14-15「0-3 原子力発電の倫理的欠格」

ゼロみち2014 p.138-140「4-1-3 事故確率による安全評価は、原発には適用できない」

菅波 完
柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会(柏崎刈羽・科学者の会)事務局長
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