被ばくした作業員はどうなったの?
福島第一原発事故後に被ばくの対象となった労働者には、
- 事故発生直後に緊急対応にあたった作業員
- 原発敷地内(サイト内)で継続的に作業する作業員
- 除染作業に従事する作業員
3つのグループがあります。
もくじ
緊急時対応に従事した作業員
- 事故直後、被ばく線量限度は 100mSv → 250mSv に引き上げられました。
- 東京電力の報告では、2011年度に従事した約2万人のうち 174名 が 100mSv 以上の被ばく。
- 2011年3月〜2016年3月の5年間では、50mSv 超の被ばく者が 2,936名(東電社員799名、協力企業2,137名)。
- 2021年時点で8名が被ばくによるがんで労災認定を受けています。
「UNSCEAR福島報告書2013」:緊急対応には消防士260人、警察官13人、自衛隊員168人が原発敷地内に派遣されました。2011年12月末までに、20km圏内の警戒区域では自治体職員 約3.4万人が活動し、米軍も被災地域全体で2.4万人を動員しました。
2. 除染作業員
- 2017〜2020年に除染に従事した 55,456人の内訳
- 1mSv 以下 … 45,463人
- 5〜10mSv … 694人
- 10mSv 超 … 99人
- すべての作業員が詳細測定を受けているわけではなく、外部・内部被ばくともに測定が簡略化・省略できる条件が多く設けられています。
- 被ばく量の把握を難しくする 多重下請け構造、18 歳未満や外国人労働者の就業、劣悪な労働環境など、管理体制そのものへの問題指摘が続いています。
3.「廃炉」作業員の被ばく見込み
原子力市民委員会の特別レポート1(改訂版 2017)では、政府・東電の「中長期ロードマップ」と比較して、デブリ(溶融燃料)を
- 100年後に取り出す案
- 200年後に取り出す案
- 取り出さず半永久的に管理する案
の3シナリオで推計した結果、現在のロードマップが最も被ばく労働を増やすことが示されています。技術面だけでなく、被ばく労働という社会的観点からも、長期的な遮蔽管理のほうが合理的だと結論づけています。
参考資料:
『ぜろみち 2022』 p.80「1.3.3 作業員への健康影響」[5.7MB]
同 p.127「2.4.3 廃炉方針の根本的な転換:数百年にわたる長期遮蔽管理へ」[5.7MB]
特別レポート 1(改訂版 2017)『100 年以上隔離保管後の「後始末」』
CCNE事務局
脱原発社会の構築のための情報収集、分析および政策提言を行うとともに、幅広い意見を持つ人々による議論の「場」を提供することを目的とした市民シンクタンク。2013年から約60名のメンバー(研究者、技術者、弁護士、経営者、教育者、NGO/NPO職員など)で活動しています。
http://www.ccnejapan.com/
http://www.ccnejapan.com/