声明: ALPS処理汚染水の海洋投棄を即時中止し、 デブリ取り出しと非現実的な中長期ロードマップを見直し、 福島第一原子力発電所の「廃炉」のあり方を 公開・透明な場で検討するべきである

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2023年12月14日
 
声明:  ALPS処理汚染水の海洋投棄を即時中止し、
デブリ取り出しと非現実的な中長期ロードマップを見直し、
福島第一原子力発電所の「廃炉」のあり方を公開・透明な場で検討するべきである

                     原子力市民委員会
                         座長 大島堅一
委員 後藤政志 清水奈名子 茅野恒秀
                      松久保肇 武藤類子 吉田明子
 

1.ALPS処理汚染水の海洋投棄は即時中止せよ

 2023年8月からALPS処理水(トリチウム以外の放射性物質を含む汚染水)の海洋放出(以下、ALPS処理汚染水の海洋投棄とする)が開始された。現在の計画は、長期間にわたって液体放射性廃棄物を海洋投棄するものに他ならない。政府は、燃料デブリの取り出しや、原発事故発生後30~40年で福島第一原発の廃炉を完了することを海洋放出の理由にあげている。ところが、その福島第一原発には何をもって廃炉完了とするのかという基準すら決まっておらず、廃炉計画には全く現実性がない。ALPS処理汚染水の海洋投棄には道理も必要性もない。

 政府および東京電力は、「関係者の理解なくしていかなる処分も行わない」と福島県漁連に書面で約束していた。その約束を反故にし、多くの反対を強引に押し切るかたちで海洋投棄が開始された。海洋投棄開始には直前のプロセスにも大きな問題があった。本来、政府・東京電力は、海洋投棄の前に「年間放出計画」を関係者に丁寧に説明し、理解を得る必要があった。ところが、政府・東京電力は、「年間放出計画」を一方的に公表しただけで、その2日後には海洋投棄を始めてしまった。政府・東京電力は関係者との間の合意形成を全く行わなかった。

 ALPS処理汚染水投棄開始2ヶ月後の2023年10月25日には、増設ALPSで、配管の洗浄作業を行っていた複数の作業員が高濃度の放射能を含む洗浄廃液をかぶり被ばくするという事故が発生した。東京電力の説明は不十分で、いまだに不明な点が残されている。ALPS等による汚染水処理の現場で浮き彫りとなったのは、設備が安全に設計されているのか、安全な作業手順が確立しているのか、原子力規制委員会に東京電力を監視し、指導する力量があるのか、といった根本的な疑問である。これらはALPS処理の根幹にかかわる。

 ALPS処理汚染水の海洋投棄を直ちに中止したうえで、ALPS等の設備で大量の汚染水を確実に処理することができるのか、長期間におよぶ使用、運用が本当に安全にできるのか、改めて検証する必要がある。

2.放射能汚染の継続と求められる政府・東京電力の対応

 福島第一原子力発電所からは、放射性物質が大気や海洋にいまだに漏洩し続けている[1]。原発事故時には、放射性物質が漏洩しないよう、「止める」「冷やす」「閉じ込める」を達成しなければならない。にもかかわらず、事故後12年を経過してもなお「閉じ込める」ことができていない。それどころか、政府・東京電力は、これまでの放射性物質の漏洩に加え、ALPS処理汚染水を海洋投棄している。汚染に汚染を重ねる政府・東京電力の行為は許されない。

 加えて、政府は「ALPS処理水」を汚染水でないとして一種の言葉狩りを行ったり、海洋放出に対する批判や懸念をいわゆる「風評加害」であると断じて、国民、報道機関を萎縮させている。政府のこのような行いは、原発事故による汚染を否定し、政府、東京電力自身の加害責任を、被害者を含む国民(一般公衆)に転嫁するものである。悪質なデマが許されないことは当然であるとしても、実際の被害、風評被害ともに被害発生の責任は政府、東京電力にあり、被害者や国民にはない。

3.直ちに中長期ロードマップの見直しをすべきである

(1)汚染水発生の防止こそが必要

 2023年12月時点で、一日あたり約100立方mの汚染水が発生し続けている。政府・東京電力は、汚染水の海洋投棄を事故発生後の初期段階で目論んでおり、汚染水発生をゼロにする姿勢に欠けていた。汚染水対策として設置された凍土壁は当初から効果が疑問視されていたとおり、十分な効果を発揮していない。

 多方面から指摘されてきたとおり、原発建屋周辺の地下に遮水壁を構築すること、建屋地下内部からの水の漏出を止めること、デブリの空冷を行うことなど、汚染水発生防止のための抜本的対策を政府・東京電力は直ちに講じるべきである。これを確実に実施しない限り、汚染水の発生と漏出と周辺環境の汚染が続く。汚染水対策に要する期間が長引き、費用の増大も避けられない。

(2)デブリ取り出しは不可能

 原子炉からのデブリ取り出しは今のところ技術的見通しが立っていない。仮に一定量取り出せたとしても、核分裂性物質の保管場所を含め社会的に解決すべき課題が残る。したがって現時点でデブリ取り出しを急ぐ必要はない。ALPS処理汚染水投棄の理由となっているデブリ取り出しのための敷地確保も不要である。最優先するべきは、汚染水の環境中への漏出や投棄を最小限にすることである。また福島第一原発内の汚染水は、原子力市民委員会がこれまで提言してきたように、堅牢な大型タンクによる保管やモルタル固化による処分等で安定的に保管ないし処分するのが望ましい。

(3)中長期ロードマップの見直しと制度改革が不可避

 事故処理によって大量の放射性廃棄物が発生するとみられている。その最終処分方法は、現在、検討すらされていない。現状では、福島第一原子力発電所敷地内に長期間保管せざるをえなくなる可能性が高い。このような状況からすれば福島第一原発敷地内から全ての放射性廃棄物を運び出し、事故発生後30~40年のうちに福島第一原発を更地(グリーンフィールド)にすることは技術的・社会的に不可能である。

 現行の中長期ロードマップには、どのような状態をもって廃炉とするのか、廃炉完了の目安となる放射線量の基準すら定められていない。現行の中長期ロードマップの見直しは不可避である。

 福島第一原子力発電所の廃炉には、労働者被ばくと環境汚染のリスクが伴い、かつ非常に長い期間と莫大なコストを要する。被ばくと環境汚染、国民負担の最小化[2]を実現するには、廃炉プロセスを民主主義的コントロールの下に置かなければならない[3]。現行の廃炉体制を根本から改め、公開性と透明性を確保し、広く国民の声が反映される制度を構築する必要がある。その際、廃炉の技術的側面だけでなく、費用と費用負担を含む社会的側面についても十分な情報が開示され、検証可能にする仕組みが組み込まれるべきである。

[1] CNICブリーフ「福島第一原発は今も放射性物質を放出している―ALPS処理汚染水放出問題で考慮すべき新たな論点」https://cnic.jp/47439

[2] 原子力市民委員会が特別レポート2『核廃棄物管理・処分政策のあり方』(2015年)で提唱した核廃棄物管理に関する「核廃棄物の管理・処分のための技術的3原則」および「核廃棄物の管理・処分のための社会的3原則」を参照されたい。https://www.ccnejapan.com/?p=11502

[3] 開かれた場で公論を形成する試みの一つとして、福島大学の元学長などによって「復興と廃炉の両立とALPS処理水問題を考える福島円卓会議」が設置・開催されている。政府・東京電力は、まずはこのような場に積極的に出席するべきである。

以 上

 

本件についての問い合わせ先:原子力市民委員会 事務局
〒160-0008 東京都新宿区四谷三栄町16-16 iTEXビル3F
(高木仁三郎市民科学基金内)
TEL: 03-6709-8083
Email: email@ccnejapan.com

 

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【12/14(木)】第三十五回 原子力市民委員会「地層処分に適地はない」—高レベル放射性廃棄物政策をめぐる‟不都合な真実”

【12/14(木)】
第三十五回 原子力市民委員会(CCNE)

「 地層処分に適地はない」
—高レベル放射性廃棄物政策をめぐる‟不都合な真実”
開催のお知らせ
 

   

今年10月、「世界最大級の変動帯の日本に、地層処分の適地はない」とする声明が地質学や鉱物学、地下水学などを専門とする27名の有志の呼びかけで、300名を超す専門家や教育者などの連名のもと発表されました。声明では、「科学的根拠に乏しい最終処分法は廃止し、地上での暫定保管を含む原発政策の見直しを視野に、地層処分ありきの従来の政策を再検討すべき」と指摘しています。

一方、原発回帰に舵を切った日本政府は、高レベル放射性廃棄物の地層処分をおこなう最終処分地の選定プロセスを加速化させており、2017年の「科学的特性マップ」に続き、今年11月には「文献調査段階の評価の考え方」を発表しました。年明けには、北海道の寿都町と神恵内村で進められてきた「文献調査」の報告書が発表されるとも言われています。

しかし、声明も指摘するように、政府が示す最終処分にかかわる基準や技術的な見解には、多くの深刻な問題があります。また、2012年に日本学術会議の「回答 高レベル放射性廃棄物の処分について」でも指摘されたように、原子力利用に関する合意形成を十分におこなわないまま、「最終処分地の選定」という個別的課題についての合意形成を進めるのは、順序が逆転しており適切ではありません。

第35回原子力市民委員会では、声明の呼びかけ人のおひとりである岡村聡さんと地層処分の問題に長年取り組んでこられた小野有五さんをお迎えし、政府が進める最終処分政策の問題について改めて議論したいと思います。委員会はどなたでも傍聴いただけます。多くの方にご参加いただけると幸いです。


point 日 時:2023年12月14日(木)13:00~16:00

point 場 所:主婦会館プラザエフ「ソレイユ」+オンラインのハイブリッド                  

pointプログラム(予定): 全体資料

・開催趣旨ならびに高レベル放射性廃棄物問題を考えるにあたって(大島堅一座長) 大島資料

第一部: 調査対象地から見る高レベル放射性廃棄物処分政策と技術的な問題

(1)寿都町、神恵内村の地質からみる「科学的特性マップ」「文献調査」の問題 /岡村 聡さん(北海道教育大学名誉教授) 岡村資料

(2)核ごみ、地層処分の問題をどう考えるべきか /小野有五さん(北海道大学名誉教授、 行動する市民科学者の会・北海道事務局長)※zoom参加  小野資料

(3)高レベル放射性廃棄物処分の技術的な問題 -オーバーパック(人工バリア)は千年もつのか?                             /井野博満さん(東京大学名誉教授、CCNEアドバイザー)※zoom参加 井野資料

第二部:ディスカッション

point 申 込: 会場参加、オンライン(zoom)参加のいずれの場合も、下記からご登録ください。 https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_poCcf7IdRliyqiz4KTQkiQ

※なお、会場参加の場合でも、zoomのリンクがメールで自動的に届きますが、ご了承ください。

point 主 催:原子力市民委員会

pointお問い合せ: 原子力市民委員会 事務局
      Tel 03-6709-8083
      E-mail email◎ccnejapan.com(◎を@に変えてください。)

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ICRP勧告について学び検討する連続ウェビナー 第6回

【12/1(金)17時-18時30分】 ICRP勧告について学び検討する連続ウェビナー 第6回
開催のお知らせ
慶応大学商学部 濱岡研究室、原子力市民委員会共催>
 

11月3日-4日に福島市で「放射線防護の民主化フォーラム2023-30:with 飛田晋秀写真展、減思力展、原子力災害考証館furusato」を開催しました。両日とも、現地会場に約50人のみなさまにご参加いただいた他、ZOOMでは約200人、Youtube配信では、2日間の映像それぞれ500回程再生されました。ご参加、視聴いただき感謝申し上げます。

   今回は、これまでのウェビナーや福島でのイベントを振り返りつつ、11月に東京で開                      催されたICRP2023総会など関連学会の動向を踏まえて、主に下記の4点から、今後の方向性を検討します。

(1) 連続ウェビナー1-5と「放射線防護の民主化フォーラム2023-30」開催報告

(2)ICRP2023東京、放射線影響学会、保健物理学会等への参加報告

3)連続ウェビナー、放射線防護の民主化フォーラム2023-30のreflections(反省)と今後

(4)(時間があれば)放射線防護の民主化に向けた提言(案)について

たくさんの方にご参加いただけると幸いです。


point 日 時: 2023年12月1日(金)17:00~18:30

point 場 所: オンライン開催(zoom)

point 参加・報告(予定):

             明智礼華(京都府立大学大学院史学専攻 博士後期課程)

             柿原泰(東京海洋大学・教授、市民科学研究室・低線量被曝研究会)

   瀬川嘉之(高木学校、市民科学研究室・低線量被曝研究会)瀬川資料 

   清水奈名子(宇都宮大学教授) 清水資料

   濱岡豊(慶應大学教授) 濱岡資料

   林衛(科学ジャーナリスト、富山大学・准教授)

   藤岡毅 (大阪経済法科大学客員教授) 

   細川弘明 (京都精華大学・名誉教授)  

   村上正子(原子力市民委員会・事務局長)

point 申し込み: 下記よりお申込みください。 https://keio-univ.zoom.us/webinar/register/WN_KRuEoJTrTlWC4_9y8oXo9Q#/registration

※ 案内が届かない場合は、email◎ccnejapan.com(◎は@に変えてください)までお知らせください。

point お問い合わせ:email◎ccnejapan.com[◎を@に変えてください] TEL/FAX 03-6709-8083


<ICRP勧告について学び検討する連続ウェビナーの開催について>

福島原発事故後に適用された年間20mSv基準などのもとになったICRP(国際放射線防護委員会)の基本勧告が、2030年頃に改訂される予定です。

そのICRPが今年11月6~9日の間、東京で総会(ICRP2023)を開きました。原発事故の被災地で開催されたICRP2023が、被災者や市民、事故後の状況を把握する日本の研究者が広く参加し、事故の経験を踏まえた放射線防護のあり方を検討できる場となるよう、私たちはICRPに対して具体的な提言を重ねましたが、残念ながら受け入れられませんでした【経緯はこちらからご覧ください】。

福島原発事故後の放射線防護の最大の問題は、市民の人権や意向を無視した方策がとられてきたことにあります。2030年頃に改訂される基本勧告が原発事故の教訓を反映しないまま、改悪されることのないよう、市民も改訂プロセスに関わり、ICRPの勧告について学び、理解していくことが重要です。

そこで、ICRPとは何か、その勧告とは何かなど、基本的な事柄からはじめて、ICRPの勧告を読みつつ批判的に検討し、市民の観点からの放射線防護のあり方を検討する連続ウェビナーを開催してきました。過去の回についてはこちらをご覧ください

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[CCNE後援イベント]【12/16-17(土日)】第9回公害資料館連携フォーラムin福島

 

[CCNE後援イベント]【12/16-17(土日) 】
第9回公害資料館連携フォーラムin福島
「 災害を伝え、未来るつくる」

(詳細:https://kougai.info/news/1278)

公害を伝える取組を学び、各地の公害地域再生の取組を共有することで、公害教育と公害資料館の可能性について議論する公害資料館連携フォーラムを2013年から開催してきました(新潟・富山・四日市・水俣・大阪・東京・倉敷・長崎)。2023年は福島で開催します。

私たちはなぜ災害の経験を継承しようとするのでしょうか。被害は避けられないものではなく、災害への社会的対応によって、軽減したり回避することもできます。私たちはどのような未来をめざすのか、公害や東日本大震災などの経験から学び、ともに考えたいと思います。


 point 日 時:2023年12月16-17日(土・日)

 point 会 場:福島大学 住所:福島県福島市金谷川1

 point プログラム

●16日(土)
・8:30~14:30   現地見学
・15:00~17:00  開会、基調講演「当事者感覚獲得のためにー災いの記憶を語り継ぐ意義とその伝え方-」
   /山内宏泰さん(リアス・アーク美術館館長)
・17:30~19:00 交流会     

●17日(日)
・9:30~12:00 分科会
※教育分科会「原発事故を教えることをめぐる困難の〈現 在〉に向き合う」      

原発事故から10年以上が経過し、福島で公害教育に取り組む/取り組もうとする教師たちは新たな困難に直面しています。本分科会では、まず、研究者と現場教師の双方からこの困難の〈現在〉についてご報告いただきます。その上で、公害資料館の立場から「連携」のあり方等に関する論点を提起していただき、参加者全体で議論を深めます。〔ゲスト〕
    前嶋匠さん(東大寺学園中・高等学校)
    渡部純さん(福島県立福島東高等学校)
    押部逸哉さん(福島県教職員組合・放射線教育対策委員会)
    木村紀夫さん(大熊未来塾)     

※資料分科会: 「災いの資料を未来づくりに―福島と尼崎での取り組み」   

公害、震災、原発事故のような、私たちの暮らしを脅かす災いの記憶を伝えるものの一つに資料がありますが、それは経験を活かした未来づくりにどれほど役立っているのでしょうか。この分科会では、公害および震災・原発に関する資料の収集・整理・保存・公開について、2つの館に取り組みをお話しいただき、「災害を伝え、未来をつくる」ために資料を使ってできることを考えます。
   〔ゲスト〕
    瀬戸真之さん(東日本大震災・原子力災害伝承館)
    河野未央さん(尼崎市立歴史博物館)
    松本望さん(尼崎市立歴史博物館)      

・12:15~13:15 ランチミーティング
     津島原発訴訟の原告団長 今野秀則さんのお話      

・13:30~15:00 全体会

 point 申し込み:申し込み先着順、12月10日(日)〆切。下記、申込サイトよりお申込みください。 https://forms.gle/684cu9NurEhgmYkC6

 point参加費:
<フォーラム参加費>
 一般:3,000円、公害資料館ネットワーク会員:2,000円、学生:無料
※参加費には資料集が含まれていますが、学生のみ資料集が必要な場合は別途購入(千円)となります。

<交流会参加費>3,000円(定員50名)

    point問い合わせ先: 公害資料館ネットワーク事務局

    〒712-8033 岡山県倉敷市水島東栄町 11-12
    公益財団法人 水島地域環境再生財団(みずしま財団)内
    TEL:086-440-0121 メールアドレス:kougaishiryoukan★gmail.com

                       (★を@にしてください)

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連続オンライントーク「原発ゼロ社会への道」2023 第5回

【11/27(月)17時-18時】 CCNE連続オンライントーク
「原発ゼロ社会への道」2023
第5回「 新潟県はなぜ福島原発事故『3つの検証』を骨抜きにしたのか 」
— 市民検証委員会の意義と柏崎刈羽原発再稼働の問題
開催のお知らせ

   

福島第一原発事故は、なぜ起きたのか。あの事故から学ぶべきことは何なのか。 政府や国会が設置した事故調査委員会は、2013年ごろまでにそれぞれ報告書をまとめました。しかし、事故原因については、未解明の課題が数多く残されたままでした(『原発ゼロ社会への道』2022 の第2章第1節、特にpp.108-110を参照)。こうした課題について、独自に検証を続けてきたのが新潟県でした。

新潟県では、2002年の東京電力の検査不正・トラブル隠しの発覚後、「技術委員会」を設置し、これが2007年の新潟県中越沖地震による柏崎刈羽原発の被災状況の検証に重要な役割をはたしてきました。福島原発事故後、「技術委員会」は、東京電力からの説明を受けるだけでなく、事故を起こした福島第一原発の建屋内部の視察を敢行するなどして、事故原因の分析および事故対応を検証するとともに、原子力災害発生時の情報伝達、情報発信、重要事項に関わる意思決定のあり方なども検証の対象としてきました。柏崎刈羽原発の再稼働を議論するには、福島原発事故の徹底した検証が欠かせないというのが、当時の泉田裕彦知事の姿勢でした。

この姿勢は後任の米山隆一知事にも継承され、2017年からは、「健康・生活委員会」と「避難委員会」が新たに設置され、技術委員会を含む「3つの検証」を総括するための「検証総括委員会」も2018年に設置され、池内了さんが委員長に就任されました。

ところが、花角英世知事に交代してから、新潟県の姿勢が徐々に後退し、「検証総括委員会」は開催されず、期待された役割を果たせないまま、今年3月、委員の任期切れに際し、新潟県側がすべての委員を再任しなかったことにより、「検証総括委員会」は消滅することになりました。新潟県は9月、3つの委員会の報告要旨を束ねた‟形ばかり”の「総括報告書」を公表しましたが、池内了さんは、委員長としての責任を果たすために独自の検証報告をまとめるとともに、市民との対話集会を県内各地で開催し、福島原発事故の教訓をふまえて柏崎刈羽原発の再稼働や防災体制を問う活動を続けています。

今回のオンライントークでは、新潟県の「避難委員会」の委員であり、「検証総括委員会」の委員でもあった佐々木寛さんから、あらためて新潟県における「3つの検証」の意義を解説していただきます。その上で、元検証総括委員長の池内了さんが今月下旬にも公表する予定の「特別検証報告」と、新潟県内各地で対話集会を開催するなどして展開しつつある「市民検証委員会」の動きについてもお話していただきます。ぜひ多くのみなさんにご参加いただき、議論を深めたいと考えています。

「市民検証委員会」については、こちらからご覧ください。 https://shiminkenshouiinkai.jimdosite.com  また、『高木基金だより』No.59の巻頭インタビューで、池内了さんにお話を伺っていますので、ぜひあわせてご覧ください。 http://www.takagifund.org/activity/newsletter/index.html


point 日 時: 2023年11月27日(月)17:00~18:00

point 場 所: オンライン開催(zoom)

point プログラム:

1.講演   佐々木 寛さん(新潟国際情報大学国際学部教授、元 新潟県原子力発電所事故に関する検証総括委員会委員)資料 池内特別検証報告 市民検証委員会のパンフレット

2.コメント・質疑応答   後藤政志(元東芝、原子力技術者、鹿児島県「川内原子力発電所の運転期間延長の検証に関する分科会」委員、CCNE原子力技術・規制部会長)

(この企画は、後日Youtubeで公開します。Zoomのウェビナー形式で開催し、ご質問やご意見は当日の質疑応答(Q&A)もしくは、後日メール・FAXなどで受けつけます)

point 申し込み: 下記よりお申込みください。 https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_zYeARDL9Rf2xEveyYY1JVQ

※ 案内が届かない場合は、email◎ccnejapan.com(◎は@に変えてください)までお知らせください。

point 主 催: 原子力市民委員会

point お問い合わせ:email◎ccnejapan.com[◎を@に変えてください]                                         TEL/FAX 03-6709-8083

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ICRP勧告について学び検討する連続ウェビナー

ICRP勧告について学び検討する連続ウェビナー

福島原発事故後に適用された年間20mSv基準などのもとになったICRP(国際放射線防護委員会)の基本勧告が、2030年頃に改訂される予定です。

そのICRPが2023年11月6~9日の間、東京で総会(ICRP2023)を開きました。原発事故の被災地で開催されたICRP2023が、被災者や市民、事故後の状況を把握する日本の研究者が広く参加し、事故の経験を踏まえた放射線防護のあり方を検討できる場となるよう、私たちはICRPに対して具体的な提言を重ねましたが、残念ながら受け入れられませんでした【経緯はこちらからご覧ください】。そのため、ICRP2023の開催と同時期に、市民主体となる「放射線防護の民主化フォーラム 2023-2030」を他団体と連携して企画しました。

ICRPとは何か、その勧告とは何かなど、基本的な事柄からはじめて、ICRPの勧告を読みつつ批判的に検討し、市民の観点からの放射線防護のあり方を検討する連続ウェビナーを開催しています。福島原発事故後の放射線防護の最大の問題は、市民の人権や意向を無視した方策がとられてきたことにあります。2030年頃に改訂される基本勧告が原発事故の教訓を反映しないまま、改悪されることのないよう、市民も改訂プロセスに関わり、ICRPの勧告について学び、理解していくことが重要です。ぜひシリーズでご活用ください。

【 第5回 】「福島原発事故における人権の問題を国連特別報告から考える
point 日 時: 2023年10月19日(木)17:00~18:00
point 出 席:「国際人権法からみた福島原発事故対応の問題点—避難者の権利を中心に」/ 徳永恵美香さん(大阪大学、特任講師)
     司会: 清水奈名子(宇都宮大学教授、原子力市民委員会委員)
point リンク: 開催案内
      資料 

【 第4回 】「中間取りまとめ」
point 日 時: 2023年10月5日(木)17:00~18:00
point 資 料: 山田 藤岡 瀬川 柿原 濱岡

【 第3回 】 ICRP基本勧告の倫理性、科学性に関する根源的批判
point 日 時: 2023年9月14日(木)17:00~18:00
point 出 席:「ICRP Publication 146の問題点」/山田耕作さん(京都大学名誉教授)
      「欧州放射線リスク委員会ECRRによる国際放射線防護委員会ICRPの功                                        利主義に対する倫理学的批判」/山内知也さん(神戸大学教授)
point リンク: 開催案内
      資料 山田 補足資料 山内

【 第2回 】 ICRP Publication 146における福島の記述の問題点
point 日 時: 2023年8月24日(木)16:00~17:00
point 出 席: 柿原 泰さん(東京海洋大学教授、市民科学研究室・低線量被曝                                                          研究会)
      瀬川嘉之さん(高木学校、市民科学研究室・低線量被曝研究会)
point リンク: 開催案内
      資料 柿原 瀬川

【 第1回 】 ICRP(再)入門
point 日 時: 2023年7月27日(木)16:00~17:00
point 出 席: 1.「 放射線防護の国際基準 ICRPとは何か 」
         /清水奈名子(宇都宮大学教授、CCNE委員)
      2.「 ICRP基本勧告とICRP146 」
         /濱岡 豊(慶應大学教授、CCNE福島原発事故部会)
point リンク: 開催案内
      資料 清水 濱岡

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【10/30(月)】第三十四回 原子力市民委員会「処理汚染水の海洋投棄では何も解決しない福島第一原発の“廃炉”の過酷な現実」

 

【10/30(月)】
第三十四回 原子力市民委員会(CCNE)

「 処理汚染水の海洋投棄では何も解決しない
福島第一原発の“廃炉”の過酷な現実 」

開催のお知らせ

   

 

 福島第一原発から処理汚染水の海洋投棄が開始され、2か月が経過しました。代替案の検討も不十分なまま、流されるのはトリチウムのみであるかのような“印象操作”がおこなわれ、「関係者の理解」が得られない中での強行となりました。開始後は、反発する中国との対立ばかりが過度に取り上げられ、国内で放出リスクへの懸念を口にすれば「風評加害者」と批判されるなど、言論空間が大きくゆがめられています。

 さらに憂慮すべきは、海洋投棄の背後で、福島第一原発の「廃炉」問題が見えにくくされていることです。政府・東京電力は、今回の放出が「廃炉と復興に不可欠」と繰り返しましたが、「廃炉」の最終形は描かれておらず、30~40年で完了というのは全くの幻想にすぎません。通常の原発の廃炉で発生する量の数百倍といわれる“膨大”な量の放射性廃棄物の大半の行き先は未定で、880トンあるともいわれる核燃料デブリにいたっては、わずかにこすり取れただけです。その一方、事故処理費用は青天井に膨らみ、将来世代にまでつづく国民負担は増すばかりです。

 今回の委員会(ウェビナー形式での開催)では、政府が発信する大量の「情報」の裏に隠されている福島第一原発の「廃炉」の厳しい現状を直視し、合理的かつ現実的に事故処理を進めていくための課題を検討したいと思います。委員会は公開で行われますのでどなたでも傍聴いただけます。多くの方にご参加いただけると幸いです。


point 日  時:2023年10月30日(月)13:30~16:00

point 場  所:zoomウェビナーによるオンライン開催

※ 参加をご希望の場合は、下記からご登録ください。
      https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_8dD_k-0ETqW4b_qoUHQdQg

point プログラム:

〇挨拶・趣旨説明
1.「廃炉の将来像、事故廃棄物の処分先の議論を先送りにしたままで良いのか」
            /菅波 完(CCNE原子力技術・規制部会コーディネータ、高木基金事務局長)菅波資料
2.「原発事故の後始末費用 ——処理汚染水放出にともなうコストから検証」
            /大島堅一(CCNE座長、龍谷大学教授)大島資料
3.「ALPS処理汚染水以外にも、今ももれつづける放射性物質」
            /伴 英幸(CCNE政策調査部会、原子力資料情報室共同代表)伴資料
4.ディスカッション 川井コメント
・ステートメント検討
5.その他

pointお問い合せ: 原子力市民委員会 事務局
      Tel 03-6709-8083
      E-mail email◎ccnejapan.com(◎を@に変えてください。)

カテゴリー: 未分類 | 【10/30(月)】第三十四回 原子力市民委員会「処理汚染水の海洋投棄では何も解決しない福島第一原発の“廃炉”の過酷な現実」 はコメントを受け付けていません

[CCNE協力イベント]【11/3-4 (金土)】IISORA 第11回シンポジウム 福島

[CCNE協力イベント]【11/3(金)13~17時半、11/4(土)午前

IISORA 第11回シンポジウム 福島
「 被災後12年の被害実態、
暮らしと村人・村の将来を語る」

[主催:飯舘村放射能エコロジー研究会(IISORA) 
共催:NPO法人エコロジー・アーキスケープ
協力:R-DAN、映画「飯舘村の母ちゃん」制作支援の会、原子力市民委員会、原子力資料情報室、原発事故被害者相双の会、国際環境NGO FoE Japan、市民エネルギー研究所、日本環境会議(JEC)、日本大学生物質源科学部内ケ崎万蔵研究室、BIOCITY、ふぇみん婦人民主クラブ、福島の子どもたちとともに・湘南の会]

(詳細:https://www.iitate-sora.net/fukushimasymposium/fukushima2023)

原発事故災害から12年経過したが、未曽有の激甚災害は継続中ともいえる厳しい状況、先の見えない状況であることに変わりません。その中においても、人々は生き続けています。どこの場所でどう生きるか、家族や仲間と、そして仕事をどうするかを問いつづけながら、12年を生きてきています。農山村地域での長期的な放射能汚染の実態。そのような中での人間の健康、土・水・大気・植物・の健康についての科学的解明と予測、その研究成果を被災者とともに学び、将来に向けた対策、飯館村人、飯舘村の大地の将来について考えていきたいと思います。


 point 日 時:2023年11月3日(金)13:00~17:30、11月4日(土)午前 飯舘村内の現地見学

 point 会 場:飯舘村交流センターふれ愛館ホール
住所:福島県相馬郡飯舘村草野大師堂17
地図・アクセス:https://www.vill.iitate.fukushima.jp/site/fureaikan/3988.html

 point プログラム
【挨拶】 今中哲二さん(IISORA)
【総合司会】佐久間淳子さん(IISORA) 
【1部】 村人の部 13:05~14:45
    菅野 哲さん(村人)二地域での農的暮らし
    伊藤延由さん(村人)山菜・キノコを測って13年
    細杉今朝代さん(村人)飯舘村での農的生活
    本田 徹さん(村人、いいたてクリニック医師)飯舘村民の健康と医療
    横山秀人さん(村人)いいたてネットワーク8年間の活動とこれから
    その他
      資料提供 飯舘村 「飯舘村の現状と復興施策について」
【休憩 14:45~15:00】
【2部】 専門家の部 15:00~16:20
    今中哲二さん(IISORA)飯舘村の放射能汚染のこれまでとこれから  
    糸長浩司さん(IISORA)森林汚染と再生の途、汚染土壌再利用、バイオマス発電
    鈴木 譲さん(IISORA)放射性物質が水に流れ込めば真っ先に影響を受けるのは水生生物
    振津かつみさん(IISORA)事故による放射線被ばくと医療・健康保障
    豊田直己さん(IISORA)12年間、村民を撮り続けて
【3部】総合討議 16:20~17:20
    司会:糸長浩司さん、登壇者:発表者全員、会場との討論
【まとめ】菅井益郎さん(IISORA)
※終了後 飯舘村「きこり」で懇親会
【11月4日】午前 飯舘村の現地見学

 point 参加:会場(ホール収容人数約200名)・オンライン中継予定。詳細はこちら

 point参加費:無料

 point お問い合わせ:sympo2023あっとiitate-sora.net(「あっと」を@に置き換えて下さい)

 point共 催:NPO法人エコロジー・アーキスケープ

 point協 力:R-DAN、映画「飯舘村の母ちゃん」制作支援の会、原子力市民委員会(http://www.ccnejapan.com/)、原子力資料情報室(https://cnic.jp/)、原発事故被害者相双の会、国際環境NGO FoE Japan(https://www.foejapan.org/energy/fukushima/200330.html)、市民エネルギー研究所、日本環境会議(JEC)、日本大学生物質源科学部内ケ崎万蔵研究室、BIOCITY、ふぇみん婦人民主クラブ、福島の子どもたちとともに・湘南の会

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「放射線防護の民主化フォーラム 2023-2030」開催の経緯と趣旨

 

11/3-4【福島市内】
「放射線防護の民主化フォーラム 2023-2030」
with 飛田晋秀写真展、減思力展、原子力災害考証館furusato
―福島の経験を共有し、放射線の影響からの‟身の守り方”を市民の視点で問い直すプログラム・お申込みはこちらから]

<開催の経緯と趣旨>

 

福島の経験をふまえたとはいえない勧告の改訂
2011年の福島第一原発事故後、日本政府はICRP(国際放射線防護委員会)の2007年基本勧告から、原発事故直後の緊急時被ばく状況における20ミリシーベルト基準を採用し、避難指示や解除、除染の線引きなどをおこなってきました。事故から12年半経った今も、公衆被ばく線量限度の年間1ミリシーベルトの20倍にあたるこの数値が変更されていないのは信じがたいことです。

ICRPは2020年にチェルノブイリや福島での原発事故の経験をふまえて改訂したとする勧告「大規模原子力事故における人と環境の放射線防護」(ICRP Publication146)を発行しました※1。その草案へのパブリックコメントでは、福島原発事故の被害者の経験が十分反映されておらず、上述のような日本政府の都合のよい基準の解釈や運用について記述していないこと、人選に偏りのある科学者と市民の共同専門知を推奨していることなど、日本からも含め300通もの批判的な意見が寄せられましたが、大きく変更されることなく刊行されてしまいました※0

ICRP2023東京総会への市民参加を拒むICRP
放射線の影響から身を守る「放射線防護」の基準のもととなるICRPの基本勧告が2030年頃に向けて改訂される予定で、今年11月6日-9日に東京で開催されるICRPの総会「ICRP2023東京」でもその検討がおこなわれます。

よりよい放射線防護策を立案するには、ICRPによって恣意的に選ばれた者だけでなく、福島原発事故を経験した被災者や市民、事故後の状況を詳細に把握している日本の研究者が広く参加し、新基本勧告に向けて議論することが必要です。このため、原子力市民委員会は、ICRPに対してICRP2023に3つのセッション(「Publication 146の振り返り」「市民の観点から新基本勧告に導入すべき点」「福島における甲状腺がん」)を設置すること、福島をはじめとした市民の参加を促進するために、上記セッションの福島での開催、日本語通訳の提供、参加料金の免除や割引などを公開レターを通じて要望しましたが、残念ながら全て受け入れられませんでした(一連の経緯はこちらから)。

勧告では「利害関係者の参加」をうたいながら、ICRP2023への市民参加を認めないICRPのあり方には大きな問題があります。今後、幅広い市民や研究者が不在のまま、新基本勧告の改訂の検討が進められることによって、福島原発事故後の不十分・不適切な対応が既成事実となり、放射線防護の基準を緩めることに「悪用」されてしまいかねません。

ねじ曲げられる科学
放射線防護に関しては、UNSCEAR(原子放射線影響に関する国連科学委員会)が科学的知見をとりまとめ、ICRPが勧告を作成し、それが各国に取り入れられるという手順になっています。

UNSCEARは、福島第一原発事故の影響について「2020/21報告書」をまとめましたが、これにも様々な問題があることが指摘されています。例えば、発表時のプレスリリースのタイトルは「放射線関連のがん発生率上昇はみられないと予測される」※2でしたが、報告書には増加が検出される可能性が高いことが分析の結果として示されています※3。また、被ばく量の推定のもととなったシミュレーションの結果が、現実のデータとまったく異なっていることも指摘されています。国際的な機関の名を借りて科学を振りかざすという手法は、「IAEAによる汚染水放出へのお墨付き」などでも使われてきました。これに対抗するには、良心的な専門家の助けを得ながら市民が学んでいく必要があります。

市民による民主的な放射線防護策の提案に向けて
福島原発事故後の放射線防護における最大の問題は、市民の人権や意向が無視されてきたことであり※4、放射線防護を市民の手に取り戻す必要があります。そのためには、市民が自ら福島原発事故の経験や放射線防護のあり方を専門家などと共有し、理解し、ともに学ぶことが重要です。

そこで、市民の参加を拒むICRP2023の“対抗イベント”として、さらに2030年頃のICRP基本勧告改訂に向けて市民を重視した提言をおこなっていく長期的な取り組み体制をつくるための第一歩として、「放射線防護の民主化フォーラム 2023-2030」を企画しました。

今回のフォーラムの概要と特徴
今回のフォーラムでは、福島原発事故の経験を共有し、放射線の影響からの‟身の守り方”を市民の視点で問い直すために、ICRPに提案していた3つのセッションを設置しました。「セッション:福島の経験を共有する/ICRP146の問題」では上述の2020年に改訂されたICRP勧告の問題点を論じます。これらを踏まえて「セッション:ICRP新勧告改訂に向けて」では、その方向性を議論します。「セッション:UNSCEAR福島報告書の問題点」では、甲状腺がんの問題や、その前提としての被ばく量の推定、県民健康調査の問題点も論じます。さらに、「セッション:連帯に向けて」では、原爆被爆者や公害問題との関連、さらに若い世代と連帯するための課題も論じます。
福島市でおこなうこともあり、肩書きは様々ですが、福島にゆかりのある方々が多く登壇することも大きな特徴です。質問や議論の時間も確保してありますので、スピーカーとの意見交換の場にしていただければと思います。
さらに、報告とあわせて、「(写真展)福島の記憶 3.11で止まった町」「減思力(げんしりょく)」の教訓を学ぶためのパネル展」「原子力災害考証館furusato伝承館」も開催します。考えることとあわせて、写真やパネルからも様々なことを感じていただけるのではないかと思います。

福島原発事故の影響を振り返り、感じ、理解し、将来に向けて批判力を養うための2日間へのご参加(現地、オンライン)をお待ちしています。  プログラム・お申込みはこちらから]

※0 ICRP Publ.146の改訂に関して、今回のイベントの登壇者らによるシンポジウムの結果は下記にまとめられている。
「放射線防護とは何かーーICRP勧告の歴史と福島原発事故の教訓」『科学史研究』60巻298号(2021)p.150-174
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhsj/60/298/60_150/_pdf/-char/ja
※2 UN (2021), “東電福島事故後の10年: 放射線関連のがん発生率上昇は みられないと予測される,” https://www.unscear.org/docs/publications/2020/PR_Japanese_PDF.pdf
※3 『原発ゼロ社会への道』2022年版の1.3.3 コラム⑧参照。http://www.ccnejapan.com/20220826_CCNE202305.pdf
※4 『原発ゼロ社会への道』2022年版の1.1.4 参照。同上。

 

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放射線防護の民主化フォーラム 2023-2030 with 飛田晋秀写真展、減思力展、原子力災害考証館furusato

 

11/3-4【福島市内】
「放射線防護の民主化フォーラム 2023-2030」
with 飛田晋秀写真展、減思力展、原子力災害考証館furusato
―福島の経験を共有し、放射線の影響からの‟身の守り方”を
市民の視点で問い直す
 
 

開催のお知らせ


福島第一原発事故後の放射線防護における最大の問題は、市民の人権や意向を無視した方策がとられてきたことにあります。放射線の影響から身を守る「放射線防護」の基準のもととなるICRP(国際放射線防護委員会)の基本勧告が2030年頃に向けて改訂される予定です。市民を重視した放射線防護を実現するための長期的な取り組み体制づくりの第一歩として企画しました。    開催の経緯と趣旨はこちらから
                    チラシはこちらから
                    プログラムはこちらから

なお、フォーラムに先立ち、7月~10月にかけて「ICRP勧告について学び検討する連続Webinar」(全5回)を開催しました。下記のリンクに資料・動画が掲載されていますので、ぜひこちらも活用ください。
ICRP勧告について学び検討する連続ウェビナー(プレ企画5回分)


point 日 時:2023年11月 3日(金・祝)~4日(土)
point 会 場:福島テルサ「3階」+zoomによるハイブリッド開催
   (福島市上町4番25号)
point 申込方法: 下記のリンクから、お申込みください。

 ■報告会場の参加登録 【申し込み締切:10/27(金)】(まだ空きがありますので、これ以降は先着順で受付致します。)

 ■Zoomの参加登録(定員1000名、登録いただければアドレスが返送されます)
https://keio-univ.zoom.us/webinar/register/WN_s1DBFHMsQS6caZ5uPRfrwQ

 ■展示会場(同じく福島テルサ「3階」):登録なしでご自由にご覧いただけます。

point 参加費:無料

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point 報告会場【プログラム】 11月3日(金・祝)  プログラムはこちらから
※報告は、ZOOMによるリモートの場合があります。お名前の後ろに★印のある方はリモート報告です。

[13:00-14:25] 福島の経験を共有する/ICRP146の問題(1)(司会 後藤忍)
「イベントの背景と目的、概要」
      /濱岡豊(慶應義塾大学教授、CCNE福島原発事故部会)資料
「私たちを被ばくさせたもの」
      /武藤類子(福島原発告訴団団長、CCNE委員)資料
「宮崎早野論文とICRP111・146のつながり」
      /島明美(伊達市民、現市議会議員)資料
「福島原発事故で経験した被ばく状況と放射線防護の実態」
      /八巻俊憲(元福島県立田村高校理科教員、CCNE福島原発事故部会)資料
「原発賠償訴訟・京都訴訟での取り組みについて ―訴訟の中での ICRP」
      /明智礼華(原発賠償京都訴訟団、CCNE事務局)資料
「原発災害地域の「あの時」と「現在」」
      /市村高志(Tomioka. Connection. Fellowship 共同代表、CCNE福島原発事故部会)資料

[14:35-15:30] <展示の趣旨と団体アピール>(司会 林衛)
 ・後藤 忍(福島大学教授)「原子力・放射線教育における問題点」
 ・飛田晋秀(写真家)「福島の記憶 3.11で止まった町」
 ・原子力災害考証館furusato
 ・郷田みほ「市民立法「チェルノブイリ法日本版」を作る郡山の会(しゃがの会)」代表 資料
 ・福島敦子「原発賠償京都訴訟・原告団」共同代表 資料 会報No.45
 ・紺野則夫「福島原発事故被害から健康と暮らしを守る会」

[15:45-16:40] 福島の経験を共有する/ICRP146の問題(2)(司会 清水奈名子)
「県境を越えた放射能汚染 ―栃木県からの報告」
      /清水奈名子(宇都宮大学教授、CCNE委員)資料
「全体 Q&A、プレ企画に寄せられた質問・コメントの紹介」
      /濱岡豊(慶應義塾大学教授)

[17:00-18:40] UNSCEAR福島報告書の問題点(1)(司会 藤岡毅)
「超低線量被ばくと推定した UNSCEAR 報告書の問題個所は 100 以上」
      /本行忠志★(大阪大学名誉教授、大阪大学大学院医学系研究科招へい教授、医師)資料
「原発事故と甲状腺がんの因果関係と過剰診断」
      /津田敏秀★(岡山大学大学院教授、医師・医学博士)資料
「UNSCEAR 福島報告書における被ばく量推定の問題」
      /黒川眞一(高エネルギー加速器研究機構・名誉教授)資料

point 報告会場【プログラム】 11月4日(土)

[10:00-12:25] UNSCEAR福島報告書の問題点(2)(司会 濱岡豊)
「福島甲状腺がんの分析」
      /加藤聡子★(理学博士・元短期大学教授)資料
「臨床医から見た福島の小児甲状腺がんの課題」
      /牛山元美★(さがみ生協病院内科部長))資料
「福島県における甲状腺検査のメリット ―甲状腺がん当事者が批判する過剰診断言説」
      /崎山比早子★(3・11甲状腺がん子ども基金代表理事、CCNEアドバイザー)資料
「福島原発事故後の次世代への影響(周産期死亡と低出生体重児の増加)」
      /林敬次(はやし小児科院長・医療問題研究会代表)資料
「県民健康調査の問題点」
      /種市靖行(医師)資料
「Q&A と総括議論 ―UNSCEAR などへの要求も含む」

関連団体からのメッセージ(司会 濱岡豊)
  ・井戸謙一★「311子ども甲状腺がん裁判 弁護団」団長
  ・今野寿美雄「子ども脱被ばく裁判」 原告代表
  ・武藤類子「ALPS処理汚染水差止訴訟」事務局

                      <昼休憩>

[13:25-14:35] ICRP新勧告改訂に向けて(司会 柿原泰)
「ICRP の放射線防護体系の特徴と問題点 ―市民の観点からの見直しを」
      /柿原泰(東京海洋大学教授、市民科学研究室・低線量被曝研究会)
「ICRP 勧告の根本理念の変遷と科学的欠陥について」
      /藤岡毅(大阪経済法科大学客員教授)資料
「市民が知りたい被ばく影響、市民が求める被ばく対策」
      /瀬川嘉之★(高木学校、市民科学研究室・低線量被曝研究会)資料

[14:45-16:30] 連帯に向けて(司会 八巻俊憲)
「現在に続く「黒い雨」否定の構造」
      /小山美砂★(ジャーナリスト・元毎日新聞記者)
「水俣病・原爆・原発公害被害放置に共通する誤用論法をみんなでただそう」
      /林衛(科学ジャーナリスト・富山大学准教授)
「大学生アンケート調査の紹介」
      /清水奈名子(宇都宮大学教授)、後藤忍(福島大学教授)
「福島第一原子力発電所事故と歴史遺産について」
      /明智礼華(原発賠償京都訴訟団、CCNE事務局)資料
「被ばくから命を守る —沖縄県に避難している人たちの取り組みについて」
      /佐久川恵美(同志社大学都市研究センター研究員)
「Q&A」

[16:30-16:40] 全体まとめと今後に向けて
      /清水奈名子(宇都宮大学教授、CCNE委員)

point 展示会場 11月3日(金・祝)13:00-19:00 および11月4日(土)10:00-15:30頃まで
(登録不要、自由にご覧ください。)
    ●飛田晋秀「(写真展)福島の記憶 3.11で止まった町」
    ●福島大学共生システム理工学類環境計画研究室(後藤忍教授)
    「減思力(げんしりょく)」の教訓を学ぶためのパネル展
          ——福島第一原発事故前後の原子力・放射線教材等の記録」
    ●原子力災害考証館furusato 

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point 主 催:慶應義塾大学商学部・濱岡研究室
point 共 催:原子力市民委員会(CCNE)、市民科学研究室・低線量被曝研究会、
科研費プロジェクト「放射線防護体系に関する科学史・科学論的研究から市民的観点による再構築へ」、
福島原発事故による甲状腺被ばくの真相を明らかにする会、富山大学科学コミュニケーション研究室、
科研費プロジェクト「低線量被曝の健康影響をめぐる日本での論争とその社会的背景に関する研究」、
NPOはっぴーあいらんど☆ネットワーク
(共催表明順)

point 問い合せ先:原子力市民委員会
      TEL: 03-6709-8083 E-mail: email◎ccnejapan.com(◎を@に変えてください)


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